らくらくフォンの誘惑 | 幼妻日記

らくらくフォンの誘惑


妻は視力が弱い。

中学生からのコンタクトレンズ使用者。
高校の頃まではたしか0.1くらいはあったので、今考えると無謀だが外を歩くのにメガネもコンタクトもしないこともあった・・・。

ある時、横断歩道の真ん中に大きめの落とし物があるので、(何だろう?)とグングン歩いて近づき、しゃがんで覗き込んだ。
「ギャッ!!」
車にはねられたネコの死骸だった。

信号待ちで停まっていた車の人達から見ると、制服の女子高生が死んでるネコに向かってまっしぐらに近づき、勝手に腰を抜かしているわけだから、かなり不思議な図柄だっただろうと今振り返る。

現在では0.03程度、とても裸眼で外に出られる状況ではない。
メガネも乱視矯正が入ると頭がクラクラするのでそう強い度数にはしていないため、かろうじて室内で生活ができる程度。


旦那様も視力が弱い。

角膜の持病もあるため、コンタクト歴30年以上。人生の半分以上はコンタクトをしているらしい。

しかもメガネは使用しない(完全な矯正は無理)。

自宅でコンタクトを外した後の夫婦の動きはかなり妖しい。
なにせ夫婦4つの目の視力を全部合計してみても「0.2」たらずだ。
モグラか?

そんな旦那様の携帯電話、古くなったし、パケット通信料が毎月オーバーなので機種変更のためNTTのドコモを訪れた。

二人でこういう所に行くと、夫婦と思ってもらえない事の方が多い。しかし今回の妻は自信があった。
「よかったね。すでに家族割引を利用してるから結婚指輪をわざとらしく見せなくても誤解されないよ」順番待ちの間、明るく話す妻に旦那様はポツリ、

「でも、親子と思われるかも・・・」

(そっか、親子も家族割引なんだ・・・)
確かに、旅行を申し込む時、同じ姓で同じ住所を記入しても「ご一緒のお部屋でよろしいですか?」って必ず聞かれるんだよね。

順番がきて窓口に。
必要以上に「主人の携帯が・・・」「主人は目が悪くて・・・」の「主人」のところで音量が上がる妻。
「見やすい画面のものを」と相談すると、勧められたのが「らくらくフォン」。

コマーシャルで「おじいさん、おばあさん」がでてくる高齢者向きのシンプルな機種。

夫婦は悩んだ。

目のためには確かに見やすい方がいいのだが、孫と話すわけじゃーなし、
「50代半ば、子どもなし、孫なし、(若い?)妻あり」の身で「らくらくフォン」にしてよいのだろうか・・・。
うーん。



結局
「一度『らくらく』にしたら、きっと『普通フォン』へは戻れないわよ」という妻の囁きで旦那様は踏みとどまり、今回まではFOMAの中でも比較的字の見やすい機種にしたのだった。

らくらくフォンの世界へ足を踏み入れる平均年齢ってどのくらいだろうか?