妻の入浴 | 幼妻日記

妻の入浴

幼妻はお風呂が苦手である。なぜかというと泳げないから。

十代のうら若き頃、大人の「おにいさん」とよくドライブへ行った。
妻の故郷は海に囲まれていたので、ちょっと車をとめて話したり、ジュース飲む場所が岸壁だったりするから困った。

海に向かって車をとめられるだけで(このままサイドブレーキ外れて海に突っ込むのではないか・・・)とヒヤヒヤした。
かといって、この容姿で「わたし、水がこわいの~」などと体をくねらせても、ちっとも似合わないという自覚だけはしっかりと持っていたため、めっきり口数も減り不自然におとなしくなった少女は「おにいさん」から見ると(これから何か始まるのではないか)と緊張しているように誤解され、それはそれで大変だった、という思い出もある。

さて、
風呂で泳ぐ必要はないのだが、そもそも水が顔面の近くにくることが怖いのだ。未だに息継ぎの仕方がよくわからない。

だからメイク落としの洗顔をした直後の幼妻は、まるで、50円賭けて息止め競争をし、勝ったはいいけどそのあと給食の牛乳をもどしそうになった小学生のように、苦痛に満ち満ちている。

これが洗髪まで伴うお風呂タイムとあらば、湯上がりの妻は顔面蒼白で瀕死に近い。
「帰ってきたー!」とフラフラと駆け寄る幼妻、「よし、よくやった」と褒めている旦那様の姿は毎度のことながら(別の意味で)悩ましい。